衣食住で幸せを運ぶ 日本ISJ研究所
(株)GDSの本社に使用する木材について、簡単にご説明します。まず、一番大事な土台には、石川県能登地方の「アテ」を使用しています。「アテ」と言うのは能登地方の言葉で、正しくは「能登ヒバ」と言い、この木を使った能登のバンガローで、「ここは蚊が入らないんですよ」と説明されたことを、鮮明に覚えています。
梁には、地元の桧を昔ながらの手加工(野物)で、丈夫に木組みをしてあります。この組み方で家のねじれを防ぐことができます。 柱は桧を使用し、荷重がかかる三本の大黒柱には、特に太い柱を使用しています。
骨組みの構造材には、地元、天竜の杉、樹齢80年から100年の木を使用しています。化粧野地には、厚さ28mmもある三河杉を使用し、油分の多い赤味を楽しめます。
屋根には、化粧野地の上に、PB 9.5mmを、そしてその上に遮熱効果のあるスピンルーフィングを施し、屋根からの熱の進入を防ぐため、万全を施しました。
事務所の床には、先ほどご説明した能登ヒバ、15×180の赤味材のみを使用、まるで森の中にいるような香りをたのしめる、そんな空間にしたいと考えています。まして、裏山には竹林があり、蚊が入ってこないことも考慮し、少しでも仕事に集中できるようにしてみました。
応接室には、樅の木の床を使用し、お客様と心地よく商談できるよう、特に空気環境の空気の質にこだわりました。
最後に外部の仕上げには、日本の四季の環境に対応し得る素材、スピンオフを全面に塗布し、内部の仕上げにも、やはりスピンオフを全面の壁に仕上げます。
機械に頼らなくても、冬は、暖かくはないけれど、寒くない夏は、涼しくはないけど、暑くない自然の風の心地よさを楽しんでいただけるよう、考えてあります。
もちろん木の家ですから、中央に置くセンターテーブルも、樹齢120年の杉の板8枚をドン!と置き、棚もすべて天竜杉を使用します。
仕上がりを楽しみにしてくださいね。
(株)GDSと言っても、お分かりにならないと思いますが、「グローバル・ダイニング・システム」の略で、「炭火焼肉酒家 牛角」「とりでん」「居酒屋 土間土間」と名前を挙げれば知ってるよ、と言う方が多いかと思います。
(株)GDSとは、静岡・甲信越地区のFCエリア本部の権利を持ち、約65店舗を展開している会社なんですね。その代表取締役の谷野社長とは、(株)グッドリビングの相澤社長の紹介で知り合い、もうかれこれ30年近くお付き合いをさせていただいております。
今回、GDSの本社を新築するにあたり、谷野社長より「内藤さん、本社の事務所を木で建てて欲しいんだけど…。相澤社長には、内藤さんに頼むからと、もう伝えてあるから…」と私が相澤社長 連絡を入れると、「谷野社長から聞いてるよ、頼むね!」のひと言でした。また器量の大きさを感じましたね。
谷野社長から、本社のコンセプトは「木の家」であること。
ただその一点だけでした。
その
「木の家」
と聞いた瞬間に、私の魂がメラメラと燃え上がってきましたね。「木の家」と言っても、これまたピンからキリまであります。基本的には、真壁工法であり、
構造体はすべて表わしの在来であること
もちろん、床、天井には木を遣い、ウレタン塗装ではなくオイル仕上げであること。
木の素晴らしさを最大限に活かすには、人工乾燥ではなく天然乾燥が基本です。木の中には人工的に低温で乾燥しないといけない種類もありますが、天然乾燥で、人に有益な木の成分を内包したままにしないと、室内の空気環境は変わりません。それほど、フィトンチッドは熱に弱いのです。杉の香り、桧の香りと、人に心地よい香りを醸し出すテルペンもまた、繊細なものなのです。
今回、縁あってGDSの本社を建てさせていただき、感じたことがあります。
GDSが「食」という分野を通して、お客様の心に残る心地よさを共有していく姿がゴールとするならば、私は、「住まい」という分野を通して、お客様に心地良い室内環境を家づくりの文化として、そして、お客様の最高の笑顔を見るために、がんばっていきたいと思います。
すばらしい出逢いをありがとうございました。
次回は、 使用している木材について、ご説明しますね。
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