衣食住で幸せを運ぶ 日本ISJ研究所
樅の木のことについて、ほんの少しだけここに書いてみようと思います。今「モミの木」を使って家づくりをしていこうと、樅の木を愛している同士達とともに、南は九州、北は東北地方まで、その仲間たちは年々増えてきています。
なぜ今、樅の木なのか?
それには深い理由があります。決して一年二年でできることではありません。私が材木屋の長男として生まれ、祖父の代から70年近くの月日が経とうとしています。家づくりを好きになったのは、祖父の影響が大きいと言えるでしょう。今まで200棟近くの家を建て、もちろんリフォームにもたくさん関わってきました。材種にすれば数え切れないほどの木材を使用し、杉・桧・松に限らず、輸入材の床材も何十種類と使用して家づくりをしてきました。
今から約25年も前の話になりますが、「日本の木を遣って家づくりをしよう!」の掛け声の下にメンバーを揃え、日本各地の生産者たちに直接出向き、その人柄・工場・産地をくまなく研修させていただいたことは、今の私にとって大きな財産です。あの当時はまだ「地産地消」という言葉など、あまり世間に知られていなかったように思います。
今でこそ野菜や木材、どんな品物や商品でも「地産地消」がその価値を認められるようになっていますね。でも、世の中は良いものが売れるわけではありませんね。流行や知名度の高いものが売れていくという流れは、今も昔もあまり変わらないような気がします。
私はそんな中、世の中も変わり「良いものは良い」とその価値を認めてくれる人たちとの出会いが「きっとくる」と思い、この20年間近くの家づくりには、「本物の木の家」をコンセプトに一歩づつではあるけれど、木の素晴らしさを伝えてきました。
木の寿命は長く、人の寿命とは比べ物になりません。カナダの樅の木のように樹齢350年以上のものや、ドイツの樅の木の200年以上のものもこれまた素晴らしいものです。日本の杉・桧で300年前後の木を探すとなると、全国でもなかなか難しいのです!
樹齢が高いものは、神聖なもの・神が宿る木として、日本では大切に守られているのが現状です。樅の木の樹齢は先ほど書いたように、200年から300年以上のものを、樅の選木の丸太から柾目となるよう製材をし、一ヶ月から三ヶ月もの間、天然乾燥をさせ、原板となる板をモルダー加工、浮造り、そして塗装、乾燥の工程を終え現場に出荷しています。
山に生えている立木の樅の木から、現場納品となるまでには約1年近くの月日がかかるのです。本当に長い時間を費やし、製品となって皆様方の家に届くまでのすべてに、樅の木を扱う人たちの思いが入っていることを頭に置いてもらいたいのです。樅の木が全てではないけれど、そんな熱い思いで時間をかけ、大切に扱っている人たちがいることを知ってもらいたいのです。
もみの原木を製材・乾燥してくださる前田産業の皆さん、そしてフォレストバンクの皆さん本当にありがとうございます。心より御礼申し上げます。日本一想いの入った樅の木をご縁のある方々に届けたい気持ちでいっぱいです。長文お読みくださりありがとうございます。
2016.1.20 樅の木の伝道師
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