富岡製糸場にて

今から140年も前に、日本の工業化がこの製糸場から始まったのです。建物本体は、地元の杉や桧を使用し、小屋組には「トラス構造」と言う、従来の日本にない建築工法で建物内には中央部に柱のない広い室内が保たれています。

しかもその当時には電気もありませんから、採光のために高窓を設け、広く大きなガラスを輸入して、素晴らしい建物となっています。柱と柱の間には地元で作ったレンガを差し入れ、その当時の味わいが今も残っています。
多いときにはここで働く工女が600人近くいたと聞きました。でも最初に応募したときには人が集まらなかったらしいです。その理由は、フランス人が飲む赤ワインが、「富岡製糸場に入場すると外国人に血を取られる」というデマが流れたため、政府はこれを打ち消し、告論書を何度も出し、当初予定であった7月より遅れ、10月4日に操業が開始されたと言うことです。



140年以上も前に、フランスの製糸の技術や職人さんを招き、日本の工業化がここから始まったと考えると、世界遺産となっても誰もが納得するわけですね。やはり良いものは残るということなのかな。
2016.5.28 樅の木の伝道師